2004年度前期 IT教育基礎論特論B
教育のための仕組みとしての視点から情報システムを捉え、 情報伝送システム、情報ネットワークシステムの概要を知るとともに、 情報ネットワークシステムの構成要素であるコンピュータシステムの アーキテクチャに関する学習を行う。
IT教育の実施に必要な情報技術に関する基本概念、基礎理論の習得を目的とする。 具体的には、内容をオムニバス形式で講義する。 ただし、本特論のみで、これらの内容を深く学習することは困難であるため、 本特論での講義をきっかけとして、 各自が必要となる内容を学生自身が自主的に学習すること。
情報処理技術(IT)の教育への応用を考えるためには、 教育とは何かを明らかにし、 これに対して情報処理技術がどのように関係するかを明らかにする必要がある。 以下、先ず教育とは何かを議論し、 その上で、教育を行うための仕組みと情報処理の仕組みとの対応を考える。
教育とは、なんらかの知識や技術(に関する知識)を伝承する、 もしくはそのための動機付けを行うことと定義することができる。
本特論では、特に1を中心に教育を考えることとする。
このとき、「知識」=「情報」と定義すると、 情報は人の頭の中にあることになる。 すなわち、教育が、人の頭の中にある知識や技術としての情報を 相手に伝えることであると捉えることができ、 教育とは、情報伝達の1つであるといえる。教育を情報伝達の1つとして捉えた場合、教育を行うためには、 情報を伝えようとする者(情報源Aとする)が 伝達しようとする「知識」を言葉、文字、動作などの何らかの方法で表現し、 これを伝達する。 情報を得ようとする者(受信者Bとする)がこれを受け取ると、 これを解釈し、「知識 '(ダッシュ)」として得る。 この教育を行うための仕組みを図示すると、 以下のよう表すことができる。
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このとき、Aのが伝えようとする「知識」は、 Aの持つ知識に基づく解釈により表現、伝達され、 また、Bの受け取った表現は、Bの持つ知識に基づく解釈により 「知識 '」として理解されるため、 必ずしも「知識」=「知識 '」とはならないことに注意。
この教育を行うための仕組みは、 伝達される言葉や文字、動作を符号とし、 Aによる解釈を符号化、Bによる解釈を復号化として捉えると、 図2に示す、一般に通信工学で用いられる 情報伝送系のモデルと対応付けて考えることができる。
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情報伝送系の場合、実時間で相手に情報を伝えることを想定しており、 実際の教育とは必ずしも一致しない。 実際の教育では、AもしくはBにおける符号の記録による時間的遅延がある場合があり、 また、「知識」と「知識 '」を一致させるためには、 双方向のコミュニケーションが必要となる。
この場合、A、Bはそれぞれ情報源、受信者の両方となり、 また符号化と復号化の両方の機能を実現する情報処理、 および符号の記録が必要となる。 これは、図3に示す、コンピュータとネットワークからなる、 情報ネットワークシステムのモデルと対応付けることができる。
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本特論では、この観点からコンピュータやネットワーク等の学習を行う。
コンピュータネットワークの構成要素であるコンピュータシステムの仕組み (コンピュータアーキテクチャ)を理解するためには、 これをハードウェアとソフトウェアの両側面から捉える必要がある。 以下に、ハードウェア、ソフトウェアそれぞれの側面から見た、 コンピュータアーキテクチャを示す。
コンピュータのハードウェアとは、 コンピュータを構成する機械そのもののことである。 ハードウェアは、主に、以下のものからなる。
これらのハードウェアの構成要素は、 図4に示すように、システムバスを介してCPU、メインメモリ、 I/Oコントローラが接続され、 また、その他の補助記憶装置や各種入出力装置、 ネットワークインタフェース等は、I/Oコントローラに接続される。
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ただし、近年のハードウェアは、高速性などのために、 コンピュータの種類によって構成要素間の接続方法を工夫しており、 必ずしも図4のようになるとは限らない。 例えば、パーソナルコンピュータでは接続される入出力装置が多く、 I/Oコントローラとメインメモリの両方をシステムバスによりCPUに接続すると、 システムバス上を流れるデータ量が多くなってしまうため、 図5に示すように、この部分を分離するノースブリッジと呼ばれる 専用のコントローラを用意することが多く、 また、各種入出力装置の中でも、 モニタに画面を出力するための装置であるビデオカードは高速性を問われるため、 専用のバスにより接続されることが多い。
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さらに、現在では、ギガビットイーサ等の高速ネットワークに対応するために、 Pentium4用のチップセットとしてノースブリッジにネットワークインタフェースを 接続するIntel i875や、 高速なメモリアクセスを実現するために、 メインメモリをノースブリッジを介さずに直接接続するCPUである AMD Opteronなどもある。
コンピュータシステムをソフトウェアの側面から見た場合、 一般に、その構成要素は以下のようになる。
これらソフトウェアとハードウェアの関係を図示すると、 図6のように示すことができる。
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以下の課題について、それぞれA4用紙1枚程度(以内)にまとめよ。 なお、レポート提出期限は、原則、次週月曜(祝祭日問わず)10:00amとし、 三石研究室前のポストに提出すること。
本講義では、教育とは、知識の伝承や、そのための動機付けと定義したが、 その具体的な目的、内容、ならびに、そのほかに考えられる教育について、 自分の考えをまとめよ。
教育工学と呼ばれる学問分野がある。 一般に教育工学では、教育への工学的アプローチの導入や、 工学技術による教育支援について論じられている。 では、具体的な教育工学の役割、可能性はどのようなものがあるか調べ、まとめよ。 ただし、工学技術は、情報技術のみではないことに注意せよ。
情報技術(IT; 情報処理技術、情報通信技術)の教育への応用に関して、 これまで、どのような事が行なわれてきたか、 もしくは、行なわれようとしてきたかを調べ、まとめよ。 また、新たな可能性はないか、自分の意見を述べよ。